副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
翌年から毎年、発表会に出た。
間違えてしまって涙した年もあれば、うまく弾けて大喜びした年もあった。
8歳の発表会では、その年の企画で、自分よりも小さい子と一緒に連弾もした。

うまくいかないこともあったけど、ピアノはすごく楽しくて、毎日頑張っていた。



でも、私が発表会に出たのは、9歳の時が最後だった。



父が突然会社で倒れ、そのまま還らぬ人になってしまった。
私は、ピアノを続けることができなくなってしまった。

私と母は、母の実家のある静岡に引っ越した。
母は私を育てるために、祖父母の助けを借りながら、働きに出るようになった。


高齢だった祖父母は、私が中学に上がる頃、相次いで他界した。
それからは、母娘2人で支え合いながら暮らしていた。


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