副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
母にもたれて座っているうちに、うとうとしていたようで、肩を揺すられて目を覚ました。

「みいちゃん。もうすぐ全員終わるよ。写真撮影があるから、髪を整え直そうね」

「はあい……」

眠い目を必死に開けながら、準備をした。

写真撮影は、ステージ上で行われた。
家族は客席に残り、発表した子ども達のみステージに上げられていく。
当時の最年少は、5歳の私だった。
一番大きなお姉さんは、大学生ぐらいだったはず。

最年少だった私は、一番前の椅子に座る列だった。
真ん中に座る先生の真横に案内された。

「はい、みなさん。このカメラを見てくださいね」

写真屋さんが声をかけて、視線を集めていく。

「笑顔ですよ。先生の横の子、そう、あなた」

私のことだと気付いておらず、先生に「美鈴ちゃんだよ」と声をかけられた。

「足を閉じてね」

客席の大人達から、くすくすっと笑い声が聞こえたけど、幼い私にはなんのことかわからず、促されるまま足を閉じた。

私の発表会は、あっという間に終わった。

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