副社長の歪んだ求愛 〜契約婚約者の役、返上させてください〜
「それでは、その都度写真を撮って、最後に見比べて選びましょうか。私だけの意見ではなくて、少しでも佐山さんのご意見を伺いたいので」

そうだった。
ただのドレス選びじゃなくて、モニターのような役割をお願いされていたんだ。
緊張のあまり、大切なことを忘れていた。

「すみません。うまく希望を言えなくて」

「大丈夫ですよ。それに、ご自分でも客観的に見た方が、より満足したものを選べますから」

そんな東山さんの言葉が、私を気遣ってくれたようで、嬉しく思った。

それから、用意されたドレスを試着しては、写真を撮影することを数回繰り返した。
東山さんは、その都度「お似合いですよ」と言ってくれる。
さらにそのドレスのデザインのポイントや、どこがどう私に似合っているのかを一言添えてくれた。

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