三月はいなくなる子が多いから
わずかで、永遠にも感じた待ち時間で、
動揺は少し落ち着いた気がしていた。

けれど、先生の姿が視界に入ってしまうと
また、結局は、私は思考停止していた。

こんな近くに、狭い指導室の中で、
そして二人きり。

また先生の言葉に返事することができず、
ただただ見つめていた。

私の様子に

「平野、怒ってるのか? 本当に悪いと思ってるよ。
どうしても今日じゃなきゃだめだったんだ。
ごめんな……」
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