三月はいなくなる子が多いから
私が呼ばれていることに気づかず、
下校しようとしていると、

「平野、急で悪いんだけれど、放課後少し話ができないか?」

声の主は牧田先生だった。

出席確認や授業中以外に
私のことを呼ぶことなんてあると思っていないから
まったく先生のことばを他人へのものと勘違いしていた。


「麻依ちゃん、先生呼んでるよ?」
「えー、麻依ちゃん何かしたの!?」

グループのみんなにそう言われて、
ようやく実感が湧いた。

どうしよう!!!
先生に呼ばれてる!

「なに無視してるんだ? 先生に言えないことでもしてるのか?」

そんなことを言いながらも、
先生は爽やかな笑顔で近づいてきている。
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