白い便箋を太陽に翳してみれば・・
カズキがそう言ったのと同時に、あたしはふと「ある記憶」を思い出した。
なんだかこの展開、1年前と似てる・・。

あたしは急に胸が苦しくなって、首を横に振った。
「どした・・?」
カズキが側で何か言っているけど、あたしの耳には全く入ってこない。
あの人のことを・・もう思い出さないように。
考えないように。

いつからあたしは、あなたのことでいっぱいになってしまったんだろう。
あたしは、そんな気持ちを誤魔化しように、
「用ってなに?」
あたしは、カズキに話をうながした。

カズキは少し黙った後、
「アイツのこと・・流星」
そう言ってカズキは、下を向いてしまった。
きっとカズキは、カズキなりに心配してくれていたのかな?

「そのことならもう大丈夫!気にしないで。あたし・・忘れることにしたの。半年以上も過ぎたら、さすがにあたしだって疲れちゃうよ。そろそろ前進まなきゃだしさ!」

だけど、この時のあたしには、もう迷いはなかった。
「花恵はそれでいいのか?」
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