白い便箋を太陽に翳してみれば・・
苦しかった。

痛かった。

今すぐに、俺が抱きしめてあげたかった。

花恵は、もうすでに泣いていて・・。
でも、ごめんな・・。
俺はもう、お前の涙を拭いてやれねぇーんだ・・。

花恵からすぐに視線を逸らして、俺はそのまま通り過ぎた。
後ろから、花恵が俺を呼ぶ声が聞こえたけど、俺は振り返らなかった。

家に戻った俺は、ただただ泣いた。
花恵・・ごめんな。
悔しかった。
結局俺は、花恵を傷つけることしか出来なくて、自分から逃げて・・。
そんな自分が、嫌だった。

花恵が今、俺と同じ東京にいる・・。
そのことが信じられなかった。
< 307 / 350 >

この作品をシェア

pagetop