夜空に君という名のスピカを探して。
「なぁ、加賀見のこと宙って呼んでもいい?」
それは風間くんからの突然の提案だった。
あっという間に二時間が経ってカラオケを出た三人は、電車通学をしている風間くんを改札まで送るために駅に向かっていた。
風間くんと佐久間くんの半歩うしろを歩いていた加賀見くんが、ぴたりと足を止めて「へ?」と彼らしからぬ間抜けな声を出す。
「それ、いい案だね、ダイ」
佐久間くんも便乗するように、加賀見くんを振り返った。
加賀見くんの双眼に、ふたりの優しい笑顔が映る。
「名前の呼び方なんて、どうでも……」
『よくないよ』
私は彼の言葉を遮って、断言する。
それを聞いた加賀見くんは思案顔で俯いて「そういえば、お前もこだわってたな」と呟き、瞳を閉じた。
『名前って、呼ばれると特別だって言われているみたいで嬉しくならない?』
「どうだろう、名前についてそこまで深く考えたことがないから分からないな」
『じゃあ教えてあげる。ふたりは加賀見くんの友達になりたいって言ってるんだよ』
ねぇ、だからね。
もう必要ないって決めつけて、心に壁を作らないで。
これから先、加賀見くんが落ち込んだり傷ついたりして前に進めなくなったときに、背中を押してくれるのはきっと彼らだから。
『踏み出してよ、宙くん。ふたりは宙くんにとって必要な人だよ』
初めて、君を宙と呼んだ。
彼が感じている胸の温かさを大切にしてほしくて君に一歩、心で近づく。
それは風間くんからの突然の提案だった。
あっという間に二時間が経ってカラオケを出た三人は、電車通学をしている風間くんを改札まで送るために駅に向かっていた。
風間くんと佐久間くんの半歩うしろを歩いていた加賀見くんが、ぴたりと足を止めて「へ?」と彼らしからぬ間抜けな声を出す。
「それ、いい案だね、ダイ」
佐久間くんも便乗するように、加賀見くんを振り返った。
加賀見くんの双眼に、ふたりの優しい笑顔が映る。
「名前の呼び方なんて、どうでも……」
『よくないよ』
私は彼の言葉を遮って、断言する。
それを聞いた加賀見くんは思案顔で俯いて「そういえば、お前もこだわってたな」と呟き、瞳を閉じた。
『名前って、呼ばれると特別だって言われているみたいで嬉しくならない?』
「どうだろう、名前についてそこまで深く考えたことがないから分からないな」
『じゃあ教えてあげる。ふたりは加賀見くんの友達になりたいって言ってるんだよ』
ねぇ、だからね。
もう必要ないって決めつけて、心に壁を作らないで。
これから先、加賀見くんが落ち込んだり傷ついたりして前に進めなくなったときに、背中を押してくれるのはきっと彼らだから。
『踏み出してよ、宙くん。ふたりは宙くんにとって必要な人だよ』
初めて、君を宙と呼んだ。
彼が感じている胸の温かさを大切にしてほしくて君に一歩、心で近づく。