夜空に君という名のスピカを探して。
 カラオケに行った次の日の放課後のこと。

宙くんは教室で、前田さんと向き合うように座っていた。

しかもふたりっきり、最高のシチュエーション……のはずが、ふたりは委員会ノートをのぞき込みながらため息をついている。 


「うちのクラス、授業中の居眠り率がひどいらしい。先生から指摘を受けた」


 難しい顔で腕組みをしながら言った宙くんは、黒板の横にあるコルクボードに大々的に貼られた時間割を見る。

 彼らが頭を悩ませることになった事の発端は、帰りのホームルームが終わったあとにクラス委員だけが担任に呼び出されたことから始まっている。

なんでも三年A組の授業中の態度について、居眠りや雑談、隠れてスマートフォンをいじるなど他の教科担任から苦情があったらしい。

なので改善するための話し合いと、その結果を委員会ノートに記入するように言われたのだとか。


「じゃあ、明日のホームルームは話し合いかぁ……」


 前田さんは気が乗らなそうな顔をしている。

前に人前で話すのは苦手だと言っていたので、それが原因だろう。


「ただ話し合うだけだと、目立つのが嫌な人間もいるだろうから意見は出ない。いくつか具体案を出して、挙手で決めるほうがよさそうだな」


 加賀見くんの言っていることは、実に的を得ている。

手を挙げるくらいならいいけれど、話し合って意見を言うのはかなり勇気がいることだ。

それにクラスに三十人もいると、誰かが言ってくれるだろうと、他人任せな人も出てくるだろうから、加賀見くんのやり方は堅実的だ。


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