夜空に君という名のスピカを探して。
「私のでよければ、交換しませんか?」

「なっ……いい、のか?」


 奇跡が起こった。

まさか前田さんのほうから、連絡先の交換を申し出てくれるとは。

これを奇跡と呼ばずになんと言う。

男としては色々情けないけれど、この天からの恵みに感謝しよう。


『ほら、さっさとスマホ出す!』


 ボーッとしている宙くんにと喝を入れると「よ、よろしく頼む」と言って、慌ててスクールバックからスマートフォンを取り出し、前田さんと連絡先を交換した。


『今日、メッセージ送るって約束して!』

「きょ、今日、メッセージを送っても……いいか?」


 私に言われるがまま、宙くんが顔を真赤にして前田さんに確認すると、「もちろん」と言って前田さんも嬉しそうに頷く。

 あぁ、分かってしまった。

前田さんも宙くんのことが好きなんだ。

彼女の喜色満面な笑みを見たら、そう言いきれる自信があった。


「それじゃあ、また明日ね」


 スクールバックを肩にかけて、先に教室の入口へ向かう前田さんの背を見送る。

なにか言わなきゃと、宙くんは口を開けたり閉じたりを繰り返していた。

それでも言葉が出てこないのか、口ごもる加賀見くんを見かねて『また明日ねって、言ったら?』と声をかけた。


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