夜空に君という名のスピカを探して。
「ま、また明日」
宙くんの言葉が届いたのか、前田さんは振り返って小さく手を振ると、そのまま教室を出て行く。
教室には、私と宙くんのふたりだけが残された。
『今日一日ですごい進展ですね、宙くん?』
「うるさいぞ」
照れくさいのか、彼はふんっと鼻を鳴らしてぶっきらぼうに装う。
可愛げのない彼だけれど、そういう不器用なところも気に入っているだなんて、そう思ってしまう自分に敗北感しかない。
『もう空が暗くなってきてるし、私たちも帰ろうよ』
「お前に言われなくても分かってる」
『宙くんって、ほんっとーに可愛げがないよね』
「俺に可愛げを求めること自体が、間違ってるんだよ。帰るぞ、楓」
──帰るぞ楓。そのひと言に、心臓を鷲掴みされるかのような息苦しさを感じた。
なんで、こんな気持ちになるのかな。
不思議、宙くんに楓って呼ばれるとくすぐったい。
まるで、宙くんが前田さんと話すたびに伝わってくる感覚に似ている。
「楓、聞いてるのか?」
『あ、はいっ』
とっさに返事をしたせいか、敬語になってしまった。それに宙くんは、怪訝そうに眉をひそめる。
「寝ぼけてるのか……って、幽霊は寝ぼけたりしないか」
『幽霊……』
ズキンッと胸が痛んだ。
幽霊って言われるのはいつものことなのに、君と同じ人ではないことがいまさら切なくなる。
宙くんの言葉が届いたのか、前田さんは振り返って小さく手を振ると、そのまま教室を出て行く。
教室には、私と宙くんのふたりだけが残された。
『今日一日ですごい進展ですね、宙くん?』
「うるさいぞ」
照れくさいのか、彼はふんっと鼻を鳴らしてぶっきらぼうに装う。
可愛げのない彼だけれど、そういう不器用なところも気に入っているだなんて、そう思ってしまう自分に敗北感しかない。
『もう空が暗くなってきてるし、私たちも帰ろうよ』
「お前に言われなくても分かってる」
『宙くんって、ほんっとーに可愛げがないよね』
「俺に可愛げを求めること自体が、間違ってるんだよ。帰るぞ、楓」
──帰るぞ楓。そのひと言に、心臓を鷲掴みされるかのような息苦しさを感じた。
なんで、こんな気持ちになるのかな。
不思議、宙くんに楓って呼ばれるとくすぐったい。
まるで、宙くんが前田さんと話すたびに伝わってくる感覚に似ている。
「楓、聞いてるのか?」
『あ、はいっ』
とっさに返事をしたせいか、敬語になってしまった。それに宙くんは、怪訝そうに眉をひそめる。
「寝ぼけてるのか……って、幽霊は寝ぼけたりしないか」
『幽霊……』
ズキンッと胸が痛んだ。
幽霊って言われるのはいつものことなのに、君と同じ人ではないことがいまさら切なくなる。