悔しいけど好き
………
……
温かくて気持ちいい。
こんなに心穏やかにいられたのはいつぶりだろう?
ちょっと固くてちょうどいい厚みの抱き枕に頬擦りして微睡んでいるとなんだか違和感があることに気が付いた。
浮上する意識。
久しぶりによく寝たなーとうっすら目を開け違和感の正体をぼんやり見ていた。
「うちに抱き枕なんてあったっけ?」
「おい、俺は抱き枕じゃねえ…」
「ぬあっ!?へ!?ぎゃっ!!」
誰も居ないはずの私のベッドで男の声がして、パチリと目を開け、目の前の物体にびっくりし、抱き枕の正体がわかって奇声を発した。
「なっななんあああななっ!なんであんたがいるのよっ!」
がばりと起き上がり目の前で横たわってる男、神城に怒鳴り付けた。
「あ"あ"っ?お前が俺の腕にすがり付いて離さないからだろ?お陰で帰りそびれた」
ふわわと呑気に大あくびをかいて起き上がる神城に私は後退った。
ワイシャツのボタンがいくつか外れていて胸板がちらりと見える。
髪をかきあげ眠そうな目が気だるげにこちらに向いて思わずビクッと硬直した。
心臓がドキドキと早鐘を鳴らす。
無駄に色気を振り撒く神城に目が逸らせない。
しかし、神城の目線は私の目よりも下を見ていた。