悔しいけど好き
「そっ、それよりあんた何でここにいるの!?どっ…どういうこと!?」

なんとか発した言葉は吃り動揺しまくりなのが情けない。
現に神城は面白そうにククッと笑いこちらを見つめてくる。
その目がまた色っぽくてキュンと胸が鳴った。

え…?キュンって何?

「なんだよ、一つも覚えてないのか?」

そう言って神城は私が今のキュンについて首を傾げてる間に昨日の出来事を話し出した。

私は急に泣き出してわめいたと思えば意識朦朧としだして、早く帰った方がいいと神城が抱えて会社を出た。
そしてタクシーを呼んで家何処だと聞かれ私はある方向に指を指す。
そこは会社から一本裏通りを行った古いレンガ作りの5階建てビル。
「え!?目と鼻の先じゃん!タクシー呼ぶんじゃなかった…」
そう言ったときにはタクシーは着いてしまい仕方ないから乗り込んでそこのビルまでと言ったときの嫌そうな運転手さんの顔。
たいした金にならない客を乗せたと言わんばかりの憮然とした態度で、神城はすいませんねと千円を出し釣りはいらないと言ってそそくさと降りたそうだ。

「なんか損した」

「あぁ…それは…ごめん?」

つい言っちゃったけど、何で私が謝る?

で、3階の私の部屋まで行きベッドに寝かせようとしたら私ががっちり腕に絡んで離れなくてそのまま二人でベッドにダイブ。
動けずどうしようもなくてそのうち寝てしまって、気がついたら朝だった……そうな。
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