悔しいけど好き
私ずっとしがみついてたの?
確かに神城の腕はちょうど良くて抱き心地最高だったけど…あっ!いやいやそんな事考えちゃいけない!

ここは…謝っといた方がいいよね、うん。

「え…っと、ごめん、迷惑かけた…」

「ほんとだぜ、俺の予定が狂ったじゃんか、貴重な花金返せ」

私が大人しく謝ると神城はふんぞり返るように腕を組みでかい態度で上から目線。
今時花金なんて誰が言うのよ!と言いたいのを我慢してムッとする

私と違って神城は社交的で男女問わず人気がある。
しかも容姿も整ってるから特に女性にはオモテになるのだ。
ほんとは自信過剰でいつも不機嫌で俺様で頑固で時にお子さまみたいに駄々をこねる。
こいつの性格を知ったら誰もが引くと思うけど、こいつは人前では愛想良くて自分の本性を誰にも見せない。
またどこかのお嬢さんとデートでもするはずだったんだろうけど私がくっついて離れないから出来なくて不満なのだろう。

「別に無理やりひっぺがして帰れば良かったじゃん」

いい気味だと思いながらブスッと言うと神城は目線を落とし眉根を寄せた。

「そんなこと、出来るわけないだろ。永遠に眠りたいとか言われたら…」

「へ?私そんな事言った?」

むすっとした顔で頷く神城を見てふと思い出す。
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