婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
その笑顔に見惚れてしまいそうになる。
…いや、もう見惚れた。釘付け。眼福です。
でも…会いたくなかった。
だなんて口には出せず、私に邪念を入れるその素敵なお姿から黙って目を逸らすが。
竜王様がこっちに一歩踏み出してきたので、ギョッと慌ててしまった。
「羅沙、ごめん。ろくに会う時間も作れず話すことも出来なくて」
「い、いえ…お忙しかったと思うので」
「まさか君が一人で出て行ってしまうなんて。こんな事になる前に、説明しておくべきだったと思う。俺達の婚約の経緯も。…側室のことも」
婚約の経緯…って、お兄様、御友人の頼みとあらば断れなかったってこと?
あと、側妃のことを?説明するって…竜王様の口から?奥様計三人でした!って?
(………)
さっきから、胸がドクリと波打つ。
そして、背筋がザワザワとしてくるのだ。
…あの頃は、どれほどお会いしてその事をその口からお聞きしたかったか。
でも、いざとなると…とても恐れている自分がいた。
違った。