婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「だから、今ここで話をさせてくれないか?…行こう」
「…結構です!」
「えっ…」
私にピシャリと拒絶されて、竜王様は戸惑いの表情を見せていた。
だけど、私だって自分を守るのに必死だ。
…もし今、その事を竜王様の口から聞いてしまったのなら。
想い慕う人から残酷な話を聞かされてしまったら、私の心はきっとズタズタになってしまう。
お兄様の頼みで私と婚約したとか、側妃の存在を肯定する話をその口からはっきりと聞かされたとしたら、私はもうきっと立ち直れない。
本当は…聞かなくて良かったんだ。
聞かない方が、良かったんだ。
これで、良かったんだ。
「え?羅沙っ…」
「…竜王様。度重なる無礼な行為をどうかお許しください。本当にすみませんでした…。責任を以って私は夜叉王領に退がらせて頂きたいと思います…」
「無礼な行為?って、羅沙は悪いことは何もしてない!俺が何の説明もせずにいたから羅沙は混乱したんだ!…今からちゃんと説明するから!」
「聞きたくありません!」