婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「羅沙っ…!」
竜王様の表情が険しくなった。声を張り上げるなんて、身がすくみそうになる。
そんな顔を見せられると悲しくなるけど。
でも…それでも、聞きたくない。
「側妃のことなんて…他の女性のお話なんて、聞きたくありません…!」
貴方が愛している女性の話なんて。
聞きたくないんだ。嫌なんだ。
こんなに好き、だからこそ。
目頭が熱くなってくる。涙が出そう。堪えなきゃ。竜王様だって、こんなところで泣かれたって困るだろう。
でも、そう思えば思うほど止まらない。涙はもうホロホロと流れてしまった。
案の定、竜王様はそんな私の様子に困った顔を見せている。
ごめんなさい。こんなことで涙を流すとか、面倒くさい女ですよね。困らせるつもりはなかった。
でも、止まらないものは止まらない。
涙も…想いも。
そして、何もかも止まらない私は、勢い余って口にしてしまう。
この期に及んで。
「…羅沙」
「竜王様、私は以前から貴方をお慕い想っておりました…」