婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

「夜叉王領はさ?夜叉王族、その配下貴族、平民がそれぞれの役割を持って対等でいられるから、俺は大好きだよ。他の王領なんて、神力が使える王族貴族様様だからな?…領民が怯えて暮らしてるのも知らないで」



いつもフザけて笑っている豹牙の顔が、少しだけ真剣になる。



「…俺は、この天界、どこでも夜叉王領のように、みんながそれぞれ役割を持って安心して過ごせる世界にしたい。みんなが笑って過ごせる世界をな?」

「…うん」

「でも平民の領民の皆さんは生憎神力を使えない。…だからこそ!神力無しで世界を発展させた人間様の知識が必要なのよ」



豹牙もダテに天子ではない。…この世界の領民のこともちゃんと考えているんだな、と気付かされる場面だった。

それまで意気揚々と熱く語っていた豹牙だったが、しかし、その表情が少し曇る。



「…でも、そうやって人間界の知識をこの世界に取り入れると、神力が必要なくなる。…その結果、神力が廃れることになるって、年寄り連中がうるせえんだ」

「そ、そうなの?」
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