婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
冷やかし気味にニヤニヤとしながら、覗き込むように顔を突き出してこられる。
ヘタレ?ムッ。嫌味ですか。冷やかしもお断りなんですけど。またオモロー言って!
豹牙の言ってることは本当、紛れもない事実だとわかってはいるんだけど、でも何か言い返したくて苦し紛れに反論してみる。
「だ、だって。わかりきったことでしょ。婚約の経緯ったって、どうせお兄様にお願いされて渋々婚約したんだろうし。側妃のことだって…朱嘉様が寵姫だったっていう話だし。…そんな話、竜王様の口から聞きたくなかったんだもん」
「朱嘉?…あー。昔、竜王が夜会で連れてたあの巨乳ケバねーちゃんか。…それにしても、やはり逃げたかヘタレ」
「…逃げたって、さっきから!」
「だって、それはおまえが決めつけていることだろ?竜王が話したかったことは、もっと違う話だったかもしんねえじゃん」
「それは…ないよ」
「何で?何でそんなことが言える?聞いてもいないのに」
「それは…」
「ほら。自分傷付きたくないとか、甘ったれてんな?」
むむむ…と、言い返す言葉が無くなって口をつぐむ。