婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
時計回りがどっち回りか、一瞬わからなくなる。
しかし、そんな迷いで僅かに集中か途切れた時のことだった。
「…痛っ!」
パチッ!と大きい火花が弾けて、同時に掌にピリッと痛みが走り、思わずその手を引っ込めてしまった。
な、な、何?今の?
神力ではなく火花が散るなんて…!
神力を掌中に込めた形とは、白もしくは金の光のオーラのほわほわとした塊だ。お兄様の実演で見せてもらったことがある。
間違っても火花ではない。
「黒い火花…?」
私の踏ん張る様子をじっと見守っていた豹牙も、目を丸くして呆気に取られている様子だ。
「え。どーいうこと、羅沙ちゃん」
「わ、わ、わかんないよ」
「神力掌中に火花出るなんて聞いたことないぞ。…集中してる最中、何考えてた?」
「え、あ、あの、時計回りがわからなくなっちゃって」
「は?時計回りがわからなくなった?そんなボケある?時計回りは右回り……」
豹牙は喋っている途中でハッとしており、手で口を覆ってその続きを喋るのをやめてしまった。
そのまま、何かを考え込んでいる様子だ。