婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
鼻から空気を吸い込んで吸い込んで、口から温かい息をたっぷり長く吐く。
メラメラと滾る炎の横で、恐る恐る深呼吸していたが、繰り返すうちに炎の柱はどんどん小さくなっていき、フッと消えた。
炎が消えたことがわかると、気が抜けたのか、へたへたとその場に座り込んでしまった。
ようやく鎮火…。
呼吸も荒く、肩で息をしている。
何なの今の…!
神力のオーラではなく、炎が出るなんて。
私はいったい、何者…!
「『闇』の神力だな」
ぽめを抱っこしたまま、豹牙はそう呟いてこっちにやってくる。
ぽめは「わん!」と泣いた後、こっちを見てキューンキューンと弱々しく唸っていた。
大丈夫?って言ってくれてるみたい。ぽめ優しい。優しいし可愛い。
しかし、豹牙の呟いた聞き慣れない言葉に首を傾げる。
「『闇』の神力…?」
「おー。まさか羅沙の神力が『光』ではなく『闇』だったとわな。これでいろいろ辻褄が合う」
「え?どういうこと?」
その意を尋ねると、目の前に来た豹牙はぽめを地に降ろして、私と目線を合わせるようにしゃがむ。