婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
手が熱くチリチリとしてきて、ハッと回り開ける。
同時に、豹牙が呼び掛ける。
「…羅沙!」
「ひゃっ!…うわわわわ!」
手が熱く焼けそうなのも無理はない。
私の左の掌には、神力…ではない。
真っ赤な炎がボワッ!と勢いをつけて、柱のように天へと伸びていた。
え?え?何これ!
神力じゃない!…炎!
…何で炎が掌から出てくるの?!
「紅蓮の炎…?」
鳩走るような血液のように、真っ赤な…紅蓮の炎。
渦を巻いて柱となり、天へと伸びる炎は、少しなんて可愛い大きさではなかった。
わわわわ!どうしよう!
何が起こってるの!
掌から出してしまった炎のしまい方が分からず、炎が出る掌を翳したままあたふたと狼狽える。
「羅沙!回転のイメージを切れ!そこから全部出すように!…深呼吸!」
炎の柱の向こうでは、豹牙が私に叫びかける。
今の炎登場の騒ぎで距離を離したのか、すこし遠くにいた。
深呼吸…深呼吸!