婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

そして、豹牙はその悩ましい丸鶏を、焚き火台の金網の上に乗せる。

「ぽめ!バケツ!」と叫ぶと、それに応えるようにぽめが「わんわんっ!」と吠える。

すると空気が弾けた音と共に、金属のバケツが出現。

そのままズドンと丸鶏に被せた。

…なるほど。こうやって蒸し焼きにするんだ。

人間、考えること凄い。



「さあさあこれでしばらく待つぞ。その間、砂浜もあるしビーチバレーでもやる?」

「びーちばれー?」



…それから待つこと30分。

もう一箇所火起こしして、二人で野菜のスープを作っていたら、さほどすぐだった。

豹牙が手袋を履いた手で、そのバケツを開けると、打ち震える感動が待っていたのだった。



「ひゃああ!」



思わず声をあげてしまう。

バケツを外したと同時にフワッと差し込む、香ばしいニンニクの香り。

あの悩ましい姿の丸鶏の肌は、こんがりと綺麗なキツネ色に焼けていて。

肉汁がしたたり落ちてジュウッとした音が聞こえる。

ほかほかと湯気が出て…美味しそう!



「わあぁぁ!わあぁぁ!美味しそう!美味しそう!」

「だろだろ?早速食べるべし!」
< 261 / 440 >

この作品をシェア

pagetop