婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
そして、豹牙はその悩ましい丸鶏を、焚き火台の金網の上に乗せる。
「ぽめ!バケツ!」と叫ぶと、それに応えるようにぽめが「わんわんっ!」と吠える。
すると空気が弾けた音と共に、金属のバケツが出現。
そのままズドンと丸鶏に被せた。
…なるほど。こうやって蒸し焼きにするんだ。
人間、考えること凄い。
「さあさあこれでしばらく待つぞ。その間、砂浜もあるしビーチバレーでもやる?」
「びーちばれー?」
…それから待つこと30分。
もう一箇所火起こしして、二人で野菜のスープを作っていたら、さほどすぐだった。
豹牙が手袋を履いた手で、そのバケツを開けると、打ち震える感動が待っていたのだった。
「ひゃああ!」
思わず声をあげてしまう。
バケツを外したと同時にフワッと差し込む、香ばしいニンニクの香り。
あの悩ましい姿の丸鶏の肌は、こんがりと綺麗なキツネ色に焼けていて。
肉汁がしたたり落ちてジュウッとした音が聞こえる。
ほかほかと湯気が出て…美味しそう!
「わあぁぁ!わあぁぁ!美味しそう!美味しそう!」
「だろだろ?早速食べるべし!」