婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「羅沙、何してんだ!そいつは…!」
豹牙の声が聞こえるけども…だからと言って、豹牙に任せて私だけが逃げるわけにはいかない。
ならばせめて、こっちは私が仕留める。
地面を蹴って飛び上がり、モグラの鼻頭に足を掛けて頭頂部に飛び乗ると、手にしていた剣を再び握り直し、一気にその太刀を大きく振るう。
ダメ元でモグラの頭頂部を切り裂くが、手応えはない。…やはり、このモグラの核の位置は頭ではなかった。
「グアァァァ!」
今の私の斬撃がダメージになったのか、汚い悲鳴と共にモグラの体全体は激しく揺れる。
振り落とされる前に、一旦離れようとモグラの頭を蹴って地へと飛び降りようとした。
…その時だった。
(えっ…)
すでに足が離れて宙に浮いた状態の私の背後から、鋭い閃光が無数に差してくる。
伴った風圧に体の自由を持っていかれて、あっという間に吹っ飛ばされてしまった。
「あぁっ!」
そのまま樹木の幹に叩き付けられ、ゴロゴロと地に転がされる。
今の痛みを全身に感じていた時、うっすらと開いた私の目には、信じられない光景が映っていた。