婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「…まさか、神力の無い斬撃で我の頭を真っ二つに切り裂くとは、恐れ入った…」
クックッ…と、腹の底を震わして笑う声。
目の前にいるのは、モグラではない。徐々に歪めてその姿を変える。
そこには、私たちと変わらない…人の姿を造っていた。
(人の姿に変形…?)
「羅沙、そいつも人型だ!…だから退け!」
女型と対峙しながら、豹牙は私に向かって叫ぶ。
…姿が変形自在な、稀少な魔族もいるという話は聞いたことがある。
まさか、その稀少種と対峙することになるなんて…!
「まだ可愛い女ではないか。神力使いではない神族、より美味しく食せるな…?」
…だからといって、逃げるだなんて時すでに遅し。
完全に稀少種に標的にされているようだ。
もう、逃げられない。
…いや、逃げない!
剣を再び握りしめて立ち上がろうとするも、稀少種魔族はすでに私に向けて、掌を翳している。
どす黒い閃光の塊が掌中されて、風を巻き起こす。
魔力に圧されて、立ち上がるのもままならない…!