婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
『ったく、この穴放っておいて、大物はどこに行ったんだ?小物魔族ばっかで拍子抜けするな』
大きな『紫の門』を目の前に、豪鬼はボヤいている。もはや、この違和感を持っている者は、俺達だけではない。
夜迦の弟、羅刹までも同様に呟く。
『周辺の大物を狩って、ここに辿り着く予定の作戦なのによ。先遣隊に猛者の神術士や騎士を置いている意味ねーじゃん』
『まぁー。取り敢えず、このでっかいの塞いでから考えるか』
『兄上!もう封印しちゃっていいー?』
『………』
その時、夜迦がハッとして顔を上げる。
何か考えが辿り着いたのだろうか?表情に出ないからわからない。
『羅刹、豪鬼、そこは任せた』
『え?』
『俺と竜樹は本陣に戻る。…少々頭の効く奴ららしい。急ぐぞ』
『は?あ、ちょっと!』
それだけを言い残して、夜迦は兵を連れて既にその場を離れている。
…相変わらず言葉が足りねえな!
ムッと不満を堪えながらも、その後を追う。
追いついて横に並んだところで、その不満を漏らした。