婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
朱嘉様は、強気で意地悪なこと言ってきたけど…綺麗な御方だった。髪もお肌もきちんと手入れされていて、化粧とお召し物で更に美しさが引き立っていた。
黎奈様も、私と同じ年頃とは思えないぐらい落ち着いていて、綺麗で…お優しい人で。
私の想う人に愛されている人たち。
愛されるには、綺麗じゃなきゃダメなのかな…。
地獄の住人らの顔を思い出しては、ずーんと落ち込む。
「羅沙?どうしたの?ずーんと俯いちゃって」
「…え、あ、いや」
気付くと吉祥天様の顔が近くにあってビックリした。どうやら、何も喋らなくなった私を不思議に思って顔を覗き込んでいたようだ。
わわわ。
「何か悩み事?私で良かったら聞かせて?」
「いや、あの…」
まさか、綺麗な側室さんらと自分を比べて落ち込んでいたとは言えない。
話せないことがたくさんあって、返答の言葉を選んでしまう。
苦し紛れに出てきた言葉は、これだった。
「…吉祥天様はお綺麗だな、と思ってっ」
「え?私が?」
吉祥天様はキョトンとしている。自分が想像していた内容とは違ったことだったのか。