婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!

よく見ると、奥の方でこのお花だらけの庭園とは全く合わない雰囲気のものを見つけてしまう。

黒い煙が細くたなびいていて…火が上がっている?!

え?え?まさか…火事?!



馬車の窓に張り付いて、じっくりと目を凝らして見る。



だが、その火の傍には人がいた。

むしろ、筒を通して自分の息をフーフーと吹き込んで、火を起こしてる…?

え?何で?

何でこんな素敵な庭園で火を起こしてるの?



しかし、驚くべき点はそこだけではなかった。

一番驚愕するべき点は…その火を起こしている人だ。私と同じ年頃の…青年?



「…ああぁぁっ!ちょっと止めてください!」



思わず声をあげてしまう。

しかし、あまりの大声だったのか、周りにいたお兄様や夫妻が「わっ!」「ど、どうしたの?」と声をあげる。驚かせてしまった。



「羅沙、どうした」

「お、お兄様、毘沙門天様、吉祥天様、ちょっと出てもいいですか?!」



お兄様は首を傾げて窓を覗く。

だが、私が何故出ると言ったのか、わかったらしい。
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