婚約解消してきちゃいました?ヘタレ令嬢様のチートキャンプ!
「あぁ、天王か」
「あぁ、って!何でそんな呑気なんですか!だって、こんな素敵な庭園で火を起こすなんて!」
すると、吉祥天様も毘沙門天様も窓を覗いている。
「あら、天子様。今日は何をやっているのかしら」
「ひょっとしてまた…!」
…庭園で火を起こすという行為に慌てているのは、どうやら私だけのようである。毘沙門天様はカッと顔をしかめているが。
取り敢えず、お兄様らの許可を貰い、馬車を降りる。すると、後に続いてみんなゾロゾロと降りてきた。…え?何で?
そして、呑気にその現場へとみんなで歩いて行く。火が燃え盛る現場へと呑気に?
…いえ、私は火を起こすという行為に注目して飛び出したのではなく。
その火を起こしている本人は…私の知り合いだったりするからだ。
私は、王領外に信用出来る友達が二人いる。
そのうちの一人。
少し歩くと、その火が起こっている全容が見えてくる。
燃え盛る炎は案外小さい規模のものだった。
「もーえろよもえろーよ♪ほのおよもーえーろー♪」
彼はその傍で見慣れない形の椅子に深く腰掛け、陽気に歌なんて歌っている。聞いたことのない歌だ。