恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
ところが…

それと同時に杏がそれを右手でパシッと振り払ったのだ。

え?

面食らったのは俺だけじゃなく…
それは迫田たちも同じみたいだった。

首元を引っ張っていた1人はヨロヨロとよろめいて下に膝をついた。

「うるさい。いじめっ子!あんたらには関係ないよね?」

ガラスにうつってる映像では顔の表情まではわからない。
けど、おそらく、迫田たちを睨みつけてるに違いなかった。

「幼馴染の試合を見に来て何が悪いの?しかもあんたら、碧斗と今はなんの関係もないでしょう?」

「ちょっとあんた!謝りなよ。こけて膝擦りむいただろ?どうしてくれんだよ!」

もう1人がわめき散らして、こけた方を助けている。

迫田だけが黙り込んで立っていた。

「言いたいことそれだけだったら、わたし行くから。」

杏がザっと一歩踏み出した音がした。

「待ちなさいよ!」

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