恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
「おいっ!どうした?迫田になんかされたんかよ?」

いや、俺がガラス越しに見てる限りはされてなかったはずだけど…
なにぶんガラス越しだから…わかんねーとこもあるし…
実は殴られてたりしたのか?

「ちが…う…」

焦る俺に、下向いたまま震える声で杏が答えた。

おいっ!だから…!

「こ、怖かった…」

え?
杏…あんなに啖呵切ってたけど…
よく見たら今、杏の手は震えてる…

「おいっ!」

思わず手を握った。
握ってから、あ、ダメだと思った。

また俺警戒される…

けど…杏はいっそのこと俺の手を握り返してきて言った。

「碧斗…わたし…ちゃんと言えてた…かな?」

え?

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