恋するオオカミ〜不器用だけと一途なんだよ!
そういって顔を上げた杏の顔は…
あまりに愛しくて…

一人でがんばった自分を全力で俺に受け止めてほしがってる…
今までひどいことばっかしてた俺にこんなに頼ってくれてる…

まるで…俺がいないとダメみたいじゃねーか?

そんなん…もう…俺…
無理…

そして、杏を全力で抱きしめてやろうと思って…
左腕を杏の背中にまわそうと思った時だった。

「わたし…碧斗が…碧斗と…もとの関係に戻れてほんとにうれしい。」

「も…との関係?」

背中に置く前に手を止める俺。

「うん。幼馴染って…ほんとにいいなって。こういうとき碧斗がいてくれてほんとによかったと思う。」

「そ、そう?」

「そう。碧斗はわたしの最高の幼馴染だよ!」

最高の笑顔で言う杏を目の前に、俺の左手は行き場を失って、ストンと下におろすしかなかった。

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