最愛なる妻へ~皇帝陛下は新妻への愛欲を抑えきれない~
 
 
新たな苦しみの錘にイヴァンの背が鈍く軋んだのは、プルセス王国との会談がすべて終わった日の夜のことだった。

「冬が来る前にぜひ我が国にもいらしてください。歓迎します。――ああ、けれど。今度の会談は軍備関係の話し合いになるので、きっと女性には退屈でしょう。ナタリア様には休暇にでも改めて来ていただくとして、次回はイヴァン陛下おひとりで来られてはいかがです?」

会談が無事に終わったことを祝う舞踏会の後、ハルデンベルク大公はイヴァンとふたりだけで話がしたいと申し出てきた。そして人払いをした居間でハルデンベルク大公が口にしたのは、イヴァンにとって不快極まりない提案だった。

「お心遣い感謝する。しかしいらぬ気遣いだ。ナタリアは外交における皇后の役割をわきまえている。どのような席であろうと退屈を持て余すような真似はしない」

初対面後に奇行を目撃してしまったから仕方がないが、皇后をあからさまに爪弾きにするような発言にイヴァンは内心憤怒した。

本当ならば王宮から叩き出してやりたいところだが、せっかく会談が成功し双方納得の条件で結べた領土条約を無駄にするわけにはいかない。

怒りをこらえて反論するが、ハルデンベルク大公の言いたいことはイヴァンの想像と違っていた。 
 
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