最愛なる妻へ~皇帝陛下は新妻への愛欲を抑えきれない~
ナタリアは努めて明るく振舞っているが、自分が謎の病に侵されていることに不安を抱えていることは確かだった。
意識を失い目を覚ました後、彼女の瞳はいつも一瞬怯えの色を浮かべる。意識を失った後、自分が一体何をしていたのか。どうして皆、複雑な表情で自分を見ているのか。きっと問い詰めたい衝動に駆られているはずだ。
けれどそばにイヴァンがいて優しく頬を撫でてやると、ナタリアは笑みを浮かべる。その笑みが不安を押し殺して浮かべたものだと分かってはいるが、作り笑いが出来るくらいの安堵を与えてやれていることも確かだ。
そしてきっとその安心感を与えられるのは自分だけだということも、イヴァンは分かっている。
(心をさまよわせ目覚めた後、俺がいなくて寂しく不安な思いをしているんじゃないか……)
ナタリアのことを考えれば考えるほど、一刻も早く王宮へ帰りたくなる。
そのとき部屋の扉が開き、ルカがニコニコとしながら戻ってきた。