最愛なる妻へ~皇帝陛下は新妻への愛欲を抑えきれない~
「お美しいですよ、ナタリア様。どうか緊張なさらず、陛下に身をお委ねください」
羞恥に苛まれているナタリアを察してか、侍女長がそう言いながらガウンを羽織らせてくれた。刺激的な寝間着姿が隠れただけでも少し緊張がほぐれ、ナタリアは密かにホッとする。
「私は……よき皇后になれるかしら」
鏡に映った自分と見つめ合いながら、ナタリアは下腹に手をあてて小さく呟いた。
初めて愛する男性に身を委ねることも緊張するけれど、皇后としての重責は別にある。帝国の国母として最大の務めは、なんといっても跡継ぎを産むことだ。
イヴァンの血を引く偉大なる御子を、自分の体は儲けることができるのか。若き皇后が思い煩うのも当然のことだった。
そんなナタリアを、侍女たちも女官もあたたかな眼差しで見つめる。
「国民は皆、敬愛する両陛下のお世継ぎが誕生されることを心より待ち望んでおります。けれど、おふたりは今日夫婦になられたばかりではありませんか。今宵はお世継ぎの心配をされるより、どうぞ陛下と愛を育まれることだけお考えくださいまし。そうすればきっと、神様が祝福の御子を授けてくださいますわ」
侍女長の言葉に、他の侍女や女官らもウンウンと頷く。
ナタリアは彼女の温かい言葉に目を潤ませ、自分はなんて恵まれているのだろうと感激した。