同期が今日から旦那様!?〜そこに愛は必要ですか?〜
「嫌じゃ・・・ないけど、私の嘘につき合わせるのが申し訳ないと思って・・・」
布団に顔をうずめる。
婚約破棄がバレなくて済むのは助かるけど。
おばあちゃんに破談になったって報告しなくて済むのも助かるけど。
だからって藤堂君を巻き添えにしていい理由にならない。
「じゃあ、お互いに好きな人ができたら別れましょう。そこで、この結婚は終わりにする。どうですか?契約結婚をしようと言ってるんです。」
「契約・・・結婚?」
「お互いに本当に好きな人が出来たら別れる。だから、子供は作りませんし、そういう事もしません。」
「はいっ!?」
そんな事を報告書でも読むような口調で言わないで欲しい。
「希望でしたらしますけど」
「いやいや・・・」
しますけどって!!
そんなキャラだった!?
布団から出した顔を覗き込むように見る瞳は、明らかにこの状況を楽しんでいる気がする。
「僕は全然いいですけどね。橘さんの子供ならきっと可愛いでしょうし。」
「あはは・・・」
無理っ!
イケメンの怪しい微笑みとか、本当無理!
冗談が冗談に聞こえないんだもの!!
「お互い、損じゃないと思いますよ。この結婚。このまま続行でよくないですか?」
そう・・・なのかな。
理由がこれでもいいのかな。
「恋も愛もいらないなら、迷う必要はないのでは?」
そうだよ。
恋も愛もいらない。
苦しい思いばっかりのそんなのはいらない。
「分かった・・・じゃあ、好きな人が出来たら必ず言ってくれるんだよね?だったら・・・」
「それじゃあ、よろしくお願いします。奥さん」
「お、奥さんって」
呼ばれなれない呼び方にドキドキしながら、私は布団に潜り込む。
「明日も休みの申請をしていますから、ゆっくり休んで下さいね。元気になったら、引っ越しもしなくちゃいけませんし。では、僕は隣の部屋にいますので、用事が出来たら呼んでください。おやすみなさい」
「ありがとう・・・おやすみ」
あの日の朝みたいに藤堂君の掌が、私の頬を包む。
相変わらず指先は少し体温が低い。
「おやすみ」
指先が離れて体温が消える。
部屋の電気が消されて藤堂君も扉の向こうに行ってしまった。
まだ、頭がぼうっとする。
熱なのかこの状況なのか分からないけど、とりあえず、私は結婚してしまったらしい。
しかも、藤堂君と。
もしかして全部夢だったりして・・・と目を閉じる。
そんなわけないって!
もう、体調悪かったのとかどうでもいいくらいに驚きの連発で、もう一回倒れそうなんですけど。
藤堂君のイケメンぶりが国宝級とか。
結婚が事実になってしまった事とか。
契約結婚とかしてしまった事とか。
藤堂君の手が思いのほか気持ちが良かった事とか。
もういっぱいいっぱいなんですけど。
寝よう。
一回寝よう。
考えが纏まらないのに、考えれば考えるほどに訳が分からなくなりそうで、考えるのも怖い。
ミネラルウォーターと一緒に渡された薬の効果なのか、熱のせいなのか気が付けば眠りに落ちていた。
誰かが頬をそっと撫でた気がした。
布団に顔をうずめる。
婚約破棄がバレなくて済むのは助かるけど。
おばあちゃんに破談になったって報告しなくて済むのも助かるけど。
だからって藤堂君を巻き添えにしていい理由にならない。
「じゃあ、お互いに好きな人ができたら別れましょう。そこで、この結婚は終わりにする。どうですか?契約結婚をしようと言ってるんです。」
「契約・・・結婚?」
「お互いに本当に好きな人が出来たら別れる。だから、子供は作りませんし、そういう事もしません。」
「はいっ!?」
そんな事を報告書でも読むような口調で言わないで欲しい。
「希望でしたらしますけど」
「いやいや・・・」
しますけどって!!
そんなキャラだった!?
布団から出した顔を覗き込むように見る瞳は、明らかにこの状況を楽しんでいる気がする。
「僕は全然いいですけどね。橘さんの子供ならきっと可愛いでしょうし。」
「あはは・・・」
無理っ!
イケメンの怪しい微笑みとか、本当無理!
冗談が冗談に聞こえないんだもの!!
「お互い、損じゃないと思いますよ。この結婚。このまま続行でよくないですか?」
そう・・・なのかな。
理由がこれでもいいのかな。
「恋も愛もいらないなら、迷う必要はないのでは?」
そうだよ。
恋も愛もいらない。
苦しい思いばっかりのそんなのはいらない。
「分かった・・・じゃあ、好きな人が出来たら必ず言ってくれるんだよね?だったら・・・」
「それじゃあ、よろしくお願いします。奥さん」
「お、奥さんって」
呼ばれなれない呼び方にドキドキしながら、私は布団に潜り込む。
「明日も休みの申請をしていますから、ゆっくり休んで下さいね。元気になったら、引っ越しもしなくちゃいけませんし。では、僕は隣の部屋にいますので、用事が出来たら呼んでください。おやすみなさい」
「ありがとう・・・おやすみ」
あの日の朝みたいに藤堂君の掌が、私の頬を包む。
相変わらず指先は少し体温が低い。
「おやすみ」
指先が離れて体温が消える。
部屋の電気が消されて藤堂君も扉の向こうに行ってしまった。
まだ、頭がぼうっとする。
熱なのかこの状況なのか分からないけど、とりあえず、私は結婚してしまったらしい。
しかも、藤堂君と。
もしかして全部夢だったりして・・・と目を閉じる。
そんなわけないって!
もう、体調悪かったのとかどうでもいいくらいに驚きの連発で、もう一回倒れそうなんですけど。
藤堂君のイケメンぶりが国宝級とか。
結婚が事実になってしまった事とか。
契約結婚とかしてしまった事とか。
藤堂君の手が思いのほか気持ちが良かった事とか。
もういっぱいいっぱいなんですけど。
寝よう。
一回寝よう。
考えが纏まらないのに、考えれば考えるほどに訳が分からなくなりそうで、考えるのも怖い。
ミネラルウォーターと一緒に渡された薬の効果なのか、熱のせいなのか気が付けば眠りに落ちていた。
誰かが頬をそっと撫でた気がした。