君色に染まる
唇が離れ、センセの顔が見れなくて、視線を逸らした。


少女漫画とかでよくあるやつをやろうとして、やられるなんて、かっこ悪いとしか言いようがない。


「何を言っているの。市原君は最高にかっこいいわ。その格好も似合ってる」


センセは微笑み、俺から離れた。
そのままどこかに行ってしまったけれど、追いかけることが出来なかった。


唐突に俺が子供だと思い知らされた。
俺が気にしていたことも、フォローされた。


心臓が、うるさい。


「おい、生徒会長。お前がいないからパーティーが始まらない……って、翔太めちゃくちゃ顔赤いけど、風邪か?」


警官の格好をした亮介が呼びに来た。
他人から見てもわかるくらい、なのか。


これは絶対にしばらく落ち着かない。


「……いや、大丈夫だ。パーティーを始めよう」


食堂に戻り、パーティー開始の挨拶をした。
正直パーティーどころではなかったが、パーティーは滞りなく進み、参加者のいい笑顔で終了した。





「お疲れ様」


仕上げの掃除をしていたら、センセが入ってきた。


……顔が見れない。


すると、小さな笑い声が聞こえた。


「あんなに余裕たっぷりだった市原君とは思えない」


言葉はなんだか気に入らないけど、俺が見たかった笑顔が見れたから、プラマイゼロってことにする。
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