20年越しのラブレター
 アクセサリーをつけ終えると、紬はくるりと振り返った。

「あの、専務さん、
こんなにしていただいても… 」

は?
専務さん?
紬にそんな呼び方されたくない。

尋輝(ひろき)
俺のことは、尋輝って呼んでくれ」

俺がそう言うと、紬は素直に言い直した。

「ごめんなさい、尋輝さん」

ぅわっ!
さん付け!?
これ、すっげぇ照れる。

いや、これくらいでデレデレしてる場合じゃなかった。

「じゃ、行こう」

俺は気を取り直して、紬の手を取った。


俺はまた、紬を助手席に乗せ、パーティ会場のホテルへと向かった。

エレベーターに乗ると、手を離して肘を差し出す。

「ここからは、こっち」

紬はそれだけでは意味が分からないようで、可愛く首を傾げるから、俺は紬の右手を自分の肘に添えた。

紬は恥ずかしそうに、それでも逃げることなく俺の隣に寄り添って立つ。

エレベーターが目的の階に到着し、俺たちは会場に足を踏み入れた。

 俺が来賓に挨拶する間も、紬は穏やかに微笑んで俺の隣にいてくれた。
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