20年越しのラブレター
俺は紬の手を引いて、ステージを下りた。

「さ、終わった。
 紬、帰ろう」

俺の今日の仕事は終わり!
父に捕まって、根掘り葉掘り聞かれる前に帰ってしまおう。

俺は再び、紬を助手席に乗せ、自宅マンションへと向かった。

「ほら、紬、降りて」

紬は、未だに呆然としている。

「ほら、こっち」

俺が紬の手を引いて、部屋まで連れてきた時、初めて紬は我に返ったように、口を開いた。

「な、なんですか!?
 だって、い、いかがわしいことは
 しないって… 」

紬は慌てて踵を返そうとする。

「何もしないよ。
 説明をしたいだけ。
 大丈夫だから、とりあえず、中、入って」

俺はそっと紬の背中を押すけれど、明らかな疑いの眼差しを向けられた。

「分かった。
 じゃあ、携帯出しなよ。
 で、110番を表示させて、いざとなったら、
 通話ボタンを押せば繋がる状態にしておけば
 いいから」

そう言えば信用するかと思って言っただけだったが、紬は、本当に言われた通り、110番をタップしてから部屋に入った。

ソファーに紬を座らせ、俺は書斎へと向かった。

引き出しから、俺の20年前からの宝物を取り出した。

「紬、これ、覚えてる?」

色褪せたピンクの折り紙を見て、首を傾げる紬。

やっぱり、覚えてないよな。
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