20年越しのラブレター
『ひろくんへ
 だいすきです。
 大きくなったら、
 ひろくんのおよめさんに
 してください。
         つむぎより』


手紙を読んだ紬が、驚いて顔を上げる。

「これは、俺の宝物。
 初めてもらったラブレター。
 紬、覚えてる?」

紬は黙って首を横に振った。

「そっか。
 そうだよな。
 この時、紬、2年生だったしな。
 でも、6年だった俺は、今でもはっきり
 覚えてる。
 俺は紬にちゃんと返事をしたんだ。
 大きくなったら、迎えに行くって。
 だから、迎えに来た。
 紬、結婚しよう」

俺の一世一代のプロポーズ。

「え、だって、私、尋輝さんのこと、よく
 知らないし、尋輝さんだって、小学生の頃の
 私しか知らないでしょ?」

だから? そんなことで俺は諦めないよ。

「俺、さっき、紬の店で言ったと思うけど?」

「え、何を?」

「紬のこの後の時間を買いたいって」

「は?
 それは、さっきのパーティの話でしょ?」

「パーティだけだなんて、俺は言ってない。
 俺は、この後の紬の時間全てを
 引き受けたんだ。
 でも、戸惑う紬の気持ちが分からない
 わけじゃない。
 だから、紬、結婚を前提に俺と付き合って
 ください」

俺は、紬に手を差し出した。
紬、これから手を取り合って2人で生きていこう?

「やっぱり、無理です。
 だって、尋輝さんは大きな会社の
 専務さんで、行く行くは社長さんに
 なるんじゃないんですか?
 私は、ただの縫製屋です。
 釣り合いません」

何でそうなるんだ?
俺は今、肩書き関係なく、ただの尋輝として話してるのに。
大体、紬は、誰よりも素敵な女性なのに。



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