吸血鬼と夢見る猫
ガタガタッゴトッガタッ
レイさんはお金持ちなのか、いつの間にか馬車を用意していて、乗せてもらっている。
久しぶりの檻の外。
とても清々しい気分で、空気をたくさん吸う。気持ちがいい。
今、この町からずーっと遠い街に向かうらしい。
そこの人間はこの町の人間とは違い、レイさんのような吸血鬼や、幻獣のように幻の生き物と共に暮らしているという。
「楽しみなのかい?口端が上がっているよ」
フッと笑いながらレイさんが私を見てくる。
「だ、だって…やっと幸せな生活を送れると思うと…楽しみで…」
幸せな時間を過ごしている自分を想像するだけで、ワクワクとドキドキが止まらない。
無意識のうちに、顔が緩んでいた。
「…っ」
レイさんは何故か私を見つめている、少し驚いているような目で。
「…どうしました?」
「あ、いや…ユキの笑顔、初めて見たから驚いた」
「…ただの笑顔ですよ」
「だって、ずっと笑わなかったから」
「そうですか………、レイさんマヌケ顔になってますよ」
「!?」
レイさんは顔を赤くしてバッと手で顔を隠す。
あれ?キャラ変わった?って思うほど、レイさんへのイメージがホロホロと崩れていく。
「…」
「…ユキ、見ないでくれ…今ほんとマヌケだから」
私の『マヌケ顔』が相当心にきたのか、ずっと手を降ろさない。なんか可愛らしく思えてきた。
「もう大丈夫ですよ」
「…マヌケ顔…」
「引きずりすぎですよ」
「マヌケ顔って言ったのは君だよ!」
こんなめんどくさい性格だったのかと思い知らされた私は、どうにかしてレイさんを元の状態に戻そうと考えた。
「…レイさん」
「なんだい……?」
「レイさんは"普通にしていると"かっこいいんですから、立ち直りましょ?」
「…かっこいい?」
「はい、とてもかっこいいです」
悔しいが、この言葉はお世辞ではない。確かにレイさんは美形で顔がとても整っているから。
「好きになる?」
「へ?」
唐突の変な質問が返ってきて、おかしな声が出てしまった。好きになる?ってどういう意図で質問したのだろう…。
「好きになってくれるのかい??」
「…どうでしょうね」
「それはなってくれる可能性も少しはあると?」
「どうでしょうね」
「そっか!そうなのか!!」
何と答えたらいいかわからず、適当に返事を返したら喜ばれた。
それにしても、最初出会った頃と今では全くキャラが違う。
最初のレイさんはもっとかっこよかった…気がするのに…。