世界No.1の総長と一輪の花(ハロウィン特別編 詩優side)
にっ、と笑うと
「だめっ!」
拾ったはずのビーフジャーキーを花莉に取り上げられた。
予想もしていなかった行動に少しショックを受ける。
…まじか。
「詩優にはイタズラされたもん!」
それを言うんだったら
「…イタズラなら花莉だってした。俺の指噛んでたじゃん」
「……」
花莉は何も言えなくなってしまって、必死に言葉を考えているようだ。
「…じゃあ……」
花莉は少しの沈黙のあと、
「……甘いの今あげたじゃん!」
自分で言って恥ずかしいのか、ほんのり頬を赤く染める。
「じゃあもっと甘いのちょーだい」
もっともっと花莉が欲しくなる。
甘い甘いキスがほしい…
花莉の頬に両手を添えて顔を近づけると、
「わっ、わかった!お菓子あげる!!」
慌てたように唇が触れ合う直前でそう言っていた彼女だが、俺は動きを止めることはせずにまた唇を重ねた。
「んっ…」
触れるだけのキスをしてから離れた。