完璧美女の欠けてるパーツ

「えーっと、でも僕としては森田さんには恋愛をして恋人と後悔しないセッ……初めての経験をしてもらいたい」
真面目に語られてしまったけど
それができなくて来月30です。

「経験より、そこから幸せになって欲しいから」
ボソッと言われて背筋が伸びる。
真剣に考えてくれているのに、鈴木さんごめんなさい。

「シーザーサラダ食べます?」
そそくさと小皿に分けて、梨乃は自分の暴走を反省し鈴木と案を練り始める。

「森田さんの好みの男性を教えて下さい」
システム手帳を開いて鈴木が梨乃に聞く。

「今は……私とヤッてくれるなら誰でもいいです」

「それは評価が低すぎていけません。今までの恋愛歴は?」

「特に……。ファーストキスの相手とは一瞬で終わってしまったし、その後いいなと思った人は友達が好きになるから私は応援に回ってました。素敵な人はみんな彼女がいるから、あきらめるばかりで」

「友達に『私も彼が好き』とか言って、堂々と争うとかは?」

「子供の頃から、男性より女友達を大切にしなさいって言われてたので」
梨乃の美貌を心配して、守りに入った母親のアドバイスが裏目に出た結果だった。

「つらかったですね」
梨乃の話を聞いて鈴木の方が悲しそうな顔をする。

「鈴木さんは優しいですね」
ため息と一緒にそんな言葉が自然に出てしまう。
こんな変な話に巻き込んでごめんなさい。

「梨乃さんが優しいんですよ……あ、すいません、つい名前を呼ぶなんて」
真っ赤になって慌ててる。

「いいんです。梨乃でいいです。私も大志さんって呼びます」

「ありがとう梨乃さん」

「ありがとう大志さん」

バーチャル縁側復活。
ほのぼのしすぎで恥ずかしくて顔が火照る。
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