完璧美女の欠けてるパーツ
部屋は広く開放的で物は少なく、シンプルで住み心地よさそうだ。梨乃の後ろには革張りの白いソファがあり、ブランケットがかけてある。テーブルには保冷剤が2、3個あり、痛い場所を冷やして横になっていたのがわかる。
「事務所の人に話を聞いて驚きました」
「すいません」
「私が原因なんですか?」
「えーっと……」
「顔をそらさないで、こっちを見て下さい」
梨乃はそう言いながら、こっちを見た大志の顔が痛々しくて胸が苦しくなった。
「私が原因なんですね」
「でも実行したのは僕なので」
「原因を教えて下さい」
梨乃の真剣な顔に大志はため息をして覚悟を決める。
「彼は本命がいるんです。代議士のお嬢さんと見合い話があって、梨乃さんとは遊びです。とりあえず抱いてみる愛人枠です」
「それを知って殴りに行ったんですか?」
「当たり前でしょう」
「遊びでいいんです。とりあえず抱くなんて最高でしょう。それこそ願ったり叶ったりで、どうしてそこで邪魔するんですか!」
「だから、それは違うんです!」
「違うのは大志さんでしょう」
「僕は梨乃さんの幸せを」
「大志さんが殴られて幸せになれるわけない」
「それは僕が……」
梨乃は大志の胸の中に飛び込んだ。
大志はそのままフロアに倒れ込み、梨乃を抱きしめた形でふたり横になる。