完璧美女の欠けてるパーツ

明日はクリスマスイブ
クリスマスに浮かれ気分になる心理も今なら凄く理解できる。好きな人と過ごすクリスマスは特別で、待ち遠しくてドキドキしてワクワクして、知らないうちに意識も飛ぶのだろう。

梨乃は大志の部屋にほぼ毎日通って、一緒に過ごしていた。
ハイスペックデートとは真逆な生活で、大志の部屋で食事をしたりDVDを観たりゲームをしたり、ほのぼのと平和な日々を過ごしていた。
帰り際に重なるだけのキスをして、終電前には送ってもらって自宅に帰る。

でも明日はクリスマスイブ

彼の部屋に泊まる。
泊まるってことは……大人の関係になるってことだと信じたい。最初から自分の想いは告げてあるので確認はしてないけど、この流れだと大丈夫だと思う。

食事とケーキは大志が用意をしてくれているので、梨乃は大志に渡すクリスマスプレゼントと赤ワインとお泊りの準備をして彼の元に行くだけだけど


ちょっと自信ない

アラサーなのに

あぁやっぱり
こんなに好きになる人ができる前に、終わらせておけばよかった!!!

失礼な態度を取ったらどうしよう
嫌われたくないな
人生最大の失敗かもしれない

すごく好きだから
自信がない。

梨乃はさっきまでの浮かれ気分が急に下がり、ため息をして遠くを見つめる。

「やっぱり意識飛んでますよ梨乃さん!」

ゆっちゃんに肩を揺すられながら
明日の作戦を練る梨乃であった。



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