完璧美女の欠けてるパーツ

落ち込んでも意識飛んでも、時間は過ぎてクリスマスがやってくる。

梨乃は定時で退社して自分のマンションに戻り、急いでシャワーを浴びて、いつかこの日の為にと買っておいたお気に入りのキャミソールを着けた。そして前から準備していたお泊り道具一式をまたチェックする。

海外出張の時よりはるかに時間をかけ、念入りに時間ギリギリまで小さなトランクを、子供のように開けたり閉めたりで落ち着かない。

早く出なければいけないのに
なんだかこう
上手く言えないけれど
何て言うのか……落ち着かない。

そしてまた閉めたトランクを開いてしまう。

大志へのプレゼントはブランド物のメガネケースにした。壊れそうな眼鏡ケースを部屋で見たとき梨乃は思いつき、用意した品は深い緑色が美しく、本革で使えば使うほど手に馴染みそうできっと喜んでくれると梨乃は思った。

明日は平日だからトランクはそのまま置かせてもらい、とりあえず出社する時の服と、パジャマも入れたけど……パジャマは着るのかしら?映画とかではそのまま裸で寝てるけど。そういえば寝る前にもう一度シャワーとか入るのかな?その時に髪は洗ってドライヤーかけていいのかしら?ベッドに入る時間が遅くなって待たせてしまうかも。メイクはどうなんだろう、落とす?
それなら勝負下着は今着たらダメ?でも夕食の後にそんな流れになるかもしれないし。

勝負下着のスペアもあと2着ぐらい持って行こう。
それからパジャマもセクシー系のこの日の為のナイトウェア的なのも持って行こう。一度も着てないけど大丈夫でしょう。それから……。




「何泊するつもりですか?」

大きなトランクをゴロゴロ鳴らしてたどり着いた梨乃を見て、大志は笑って思わずそう言った。



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