完璧美女の欠けてるパーツ

午後9時を過ぎた頃にはテーブルを一度片付けて、2本目のワインとケーキが登場する。

「ケーキも手作り?」
苺が沢山並んでいる小さなケーキに細いロウソクを飾りながら、大志は「当然」と答える。

「凄い。大志さんパテシェみたい」
驚く梨乃をスルーしながらロウソクに火を灯し「謹慎中で時間だけは沢山あるので」そんな自虐的な発言をしてしまう。そして部屋の電気を消してふたりは目を見合わせてから、ロウソクの火を消した。

「メリークリスマス」
「メリークリスマス」
静かに言ってから、大志は梨乃の身体を抱きしめて唇を寄せてキスをした。

「真っ暗」
照れを隠すように梨乃が言うと、大志は手を伸ばして加湿器に付属しているライトのスイッチを入れた。ほんのりと点灯する淡いブルーの光だけがふたりの顔を照らす。

大志は何も言わずキスを繰り返し、梨乃の髪に指を入れてラグの上に梨乃の身体を崩してゆく。梨乃は甘いキスを受けながら、頭の中は色んな事でグルグル回る。

優しいキスから深いキスへと変わり、ふたりの息遣いが荒くなる。

うっとりと甘い幸せが押しよせる
胸のボタンが外される
大志が眼鏡を外す
髪を撫でられる
耳を甘噛みされる
なすがままの段階で、このまま何も考えず流されたらいいのに……これも梨乃の性分なのか、彼女はムクッと起き上がり大志と向かい合う。

「私……あの……」

「はい」

「ここで、そうなるのでしょうか?シャワーは浴びてきました。あの……どこでどうなって……その……自分で脱ぎます?あと……その、私は痛みに弱いので、失礼な態度を」

「全て任せて」
大志はそう言ってまたキスをして、梨乃をお姫さま抱っこで寝室まで運んだ。

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