浮気男のシンデレラ

陽和の聖バレンタインデー

外国では
バレンタインは男からも告ると聞いた。
花だったり、プレゼントだったり。
今からネットで注文しても、
間に合わない。

大仏部長の旦那のデパートは
まずいよな。

陽和は部長に知れるのは嫌がるし、
かと言って、ライバルデパートのは
ヤッパリ、まずいよな・・・。

品物パス‼


定番の花は、病院へ持って行かれ
ちゃうし・・・

花もパス

そんな事考えていたら、副社長室は
花、ぬいぐるみ、チョコレート
時計などが例年通り積み上がって
いく。

“あーあ‼ハロウィンの前に
バレンタインデーがあればいいのに‼
と思ってしまう。

色々考えているうちに、やはり日本人なのだから日本のしきたり
ホワイトデーに勝負する‼


陽和がチョコくれないなら
貰いに行けばいいだけの話だ‼
💡頭の中の豆電球がひかる。
明るーい
急に元気が出てきた。

5時、病院の第一駐車場で陽和を
待っ‼

やはり白いもふもふのコートを着て
出てきた。

慶一道はヒョリー、ヒョリー
と叫ぶ、一度バッと振り返った陽和
はツ━━━━ンとして通り過ぎた。

慶一道は駆け足で近寄り歌いながら
聞いた。


♪♬今日はなんの日ふっふ〜♬♪


シラ〜‼

バス停が近くなり慶一道はイライラ

「まだ怒ってんのか‼
ジオンとの契約は打ち切り、
もう会わない。
会ったのはCM撮りの為だし、
ジオンに好きと言う感情は無い


分かれよ!」

スタスタと歩いていた陽和はピタリ
と止まりクルリと振り返り


「へえーだから《《なに?》》」
ヽ(o`Д´o)ノ
「ん?なに?って言われても・・・、」


「あんたなんか、何があっても
私をまもらない、ジオンを守った
んだよね。

あの時は誰を守ったの?
私?ジオン?

でも貴方言ったよね、
ジオンに何かあったら許さない
って言ってたよね。

私は私を守ってくれる人と付き
合いたい。

きゃあああああぁぁぁ
道が凍って滑り安かった、陽和の悲鳴と一緒に慶一道がクルリと回りこみ差ほど段差の無い国道に転げ落ちた。

ギキキ━━━━━━━━
一台のバイクが慶一道をはねた!
慶一道は高く飛び道路側に
落ちた。

キヤ━━━━━━━ッ‼
陽和の悲鳴が高くあがる。
駆け寄りる陽和が見たものは
慶一道の頭から血が出ていた。
白い雪に染み込む赤い血

「急、救急車、救急車」
慌てて携帯を取り出すが119が
回らない。

バス停にいた学生が慌てて救急車を
呼んでくれたが
病院、病院そこそこ、

すると彼は又病院に電話してくれて
直ぐ病院の救急車が入って来た。

《《慶一道、慶一道シッカリして‼》》
お願い、お願い

「ああ、陽和、大丈夫だ・・・ョ
泣くな、け・・・がは無い・・・か?
《うん うん》
陽和を、ま も れ たのか?」

《うんうん》
「そっか、守れ・・・・・・た。」
そう言うと意識がなくなった。

陽和はどうしていいか分からず
母親に電話した。
そして慶一道の両親にも知れる事と
なった。


バイクの少年も軽い怪我で済んだ
少年には非が無いことを陽和が
証言した。陽和が転びそうになって
彼が、庇ってくれたのだと、

集中治療室に運ばれた慶一道は
まだ目を開けない。


陽和はずっと付き添った。

「神さま、浮気ばかりしていますが
私の大事な人なんです。
助けてください。」

慶一道の両親と恋子が駆けつけて
いた。


「運動神経も良いし大丈夫ですよ。
落ちた時頭を切った見たいですね。
いやぁ頭は血がよくでるんですよ。

骨折も無いし
検査も今の所大丈夫ですよ。

寝てるのは睡眠不足ですね。

1週間くらいゆっくり寝てれば
退院していいですよ。」



「良かったわ、大した事無くて」

「本当に、申し訳ありません。
娘の為、ご迷惑かけまして
なんとお詫び申し上げたら
いいのか・・・。」

大仏恋子は、慶一道の両親の
現社長に頭を下げた。

「しかし、慶一道の事は君に
任せていたのにどうして
こうなった?。

君が仲を取り持った・・・とか?」

「いいえ、何回か副社長を家の
近所で見かけましたが
まさか本当に副社長だったとは?
しかも娘と会っていたなんて・・・」


「で、どうするの?大仏さん。」

慶一道の母親、雅楽代 瞳は、恋子に
聞いた。
黒く丸い瞳にキリッとした口元
美人でシッカリしている。

同年代だが頭のキレる女性だ。

「責任を取って、辞職します。
娘の事はどうあれ
ちゃんと副社長を監視していれば
このような失態は無かった
でしょう。

本当に申しわけありません。」

社長は慶一道そっくりな顔をして
「フウ、君には本当によくやって
もらっている。
が・・・慶一道の事を任せたのは

間違いだったかもしれん。
君のお嬢さんも、中々シッカリして
いるのは良く分かった。

賢そうで礼儀正しい。
さすが君の娘だけはある。

しかし雅楽代の家を守るには
覚悟がいるし、それなりの
花嫁教育を受けた娘でないと

お嬢さんも苦労するのは目に見えて
いる。

うるさい幹部や親戚にも
口うるさい輩が沢山おる。

可哀想だが・・・諦めて欲しい。」

「はい、存じ上げております。」


「これをきっかけに合わせ無いと
約束してくれ、 慶一道には良き
令嬢と見合いをさせ結婚させる。

君も知っての通り5月で28だ
丁度良かろう。」

慶一道そっくりな慶志郎は、恋子を
みすえて、話をした。

恋子は、陽和とは結婚させないと
言っている慶志郎に、
仕方なく従うしか無かった!

慶一道は恋子が知っているように、
女の子にはだらしがない。

考えようじゃ、そんな男性に陽和を、預けるなんて苦労の溜池に大事な娘を投げ入れるような物だ。

これでいいのだと諦める事にした。
恋子は頭を下げて待合室を出た。
しかし娘に諦めてとは言えない。
頭を悩ませていた。

ICUは長く居られない。
陽和は又面会時間を合わせて
来ようと立ち上がった。

「うー、痛って〜‼」
慶一道が目を覚ました

「慶一道、分かる陽和だよ。」

「ああ、分かるよ!」
慶一道の一言に涙が溢れた。

「慶一道ゴメン、ゴメンね、
痛い 目に合わせてしまって・・・。」

「フフフ何泣いてんの?
陽和を守っただけじゃん。
俺だって陽和をまもれるんだぞ‼」

「うんうん
ありがとう。ちゃんと守って
くれたね、あんな事言って
ごめん。」

「じゃあ許してくれる?
浮気じゃないけど、それっぽい
事して君を泣かせた事‼」

「どう・・・かな?
考えておくね。」

「俺、陽和からチョコがどうしても
欲しかった。
君がチョコをばら撒くと聞いて
焦った。

だから、どうしてもチョコが
欲しかった。
陽和から貰いたかったんだ。」

「分かった。でっかい甘ーいチョコ
ケーキつくる。
いっぱい食べてね。」

「陽和、」
慶一道の手が陽和の頬を優しく
撫でた。

ふたつの唇は優しく重なった。

「フフフ、コレ、チョコの変わりな‼」


「うん。」

その様子を慶一道の母親、瞳が
見ていた。

「仲が良いのね。」

慶一道が体を張って助けた娘
微笑ましい2人の姿を目の前にして、

瞳はやはり、慶一道の気に入った
娘と結婚させてあげたいと
思っていた。


女遊びが激しいと噂された
一人息子が陽和を大事にしている
事は正直驚きだった。

彼女を、愛してる事が良く
分かり、慶一道の様子を見ていると
本当に幸せそうに見えた。

何故かホッコリと瞳の心は
暖かくなっていた。






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