浮気男のシンデレラ
結婚は多難
陽和がICUを、時間だと
追い出され珈琲を飲も
うと、フードコートの空いている、
後ろの席に座った時に、慶一道の父
慶志郎がテーブルの隣に立った。

《《あっ‼お父様。》》
慶志郎を見つけた陽和は、思わず
叫んだ。


「お父様、って呼ばれるのは
抵抗があるな‼
話があるんだ、座っても

いいかい?」


「あっ、はい、すみません
慶一道さんのお父様で、いい
ですか?
珈琲お持ちします。」

「呼び方は・・・
ええ、それでいいでしょう。
珈琲は苦手なんですよ。
気を使わないでください。


立ち上がった腰を軽く落としながら
陽和は座った。

慶志郎は大きなため息を一つ吐くと

「慶一道とは、長いの?
どんな関係なんですか?」

《《えッ》》
どんな関係?

「お互い大人なんだから、聞いてる
事、分かるよね‼」

「えっ・・・と、
それは、大人の関係があるかないか
と聞いてらっしゃるのなら
ありません。」

ホッ‼
「そうか‼
それなら話が早い。
慶一道とは別れてもらいたい、
慶一道は5月見合いをさせて
結婚を進めようと、計画して
います。

貴方には申しわけ無いが
雅楽代家の嫁は、花嫁教育を
受けて育てられた
然るべき相手を娶ります。

もう候補はリサーチ済みで
後は五月を待って慶一道の気に入
った娘と、婚礼させ
オーキッドだけでなく雅楽代
コンツェルンを継がせるつもり
です。

貴方には荷が重いでしょう。
悪い事は、いわない
慶一道の事は諦めて欲しい。」

ずっと黙ったまましっかりと目を見
て聞いていたが、

「そんな、待ってください。」

陽和は声を上げて言った。
折角、慶一道との気持ちが繋がった
ばかりというのに。

「では、お聞きしますが、英語は?」

「喋れます。
英検一級持っています。」


「ホウ。ではフランス語は?」

「・・・」
「イタリア語は? 中国語は?
マーケティング広めるには内助の功
が一番物をいいます。

外国のパーティはほぼ、妻同伴
夫の付き合いより、パートナー同士
の付き合いの方が仕事も上手く
いきます。


コミニケーションが出来ないと
話が進まないんですよ。
つまり、語学は必須なんですよ。」


「勉強しますから、
根性はあるんです。」


ハァーハッハッハッハハッハッハッハ!!
「今お幾つですか?」

「25です。」

(´-ω-`)フム
「結婚して、育児して、更に勉強?
無理でしょう。
それに礼儀、作法、お花、舞踊
覚えて貰う事は山ほどあります。

ついてこれますか?」

「やって見ないと分かりません。」

「やって見てからでは遅いんですよ。
息子の為に語学を勉強し、
国々のあらゆる事を学び
息子との結婚に向けて幼少の頃か
ら準備した女性が何人もいます。

息子にはその努力をして来た
令嬢との婚姻を望みます。

親として息子の幸せがどちらに
あるかを、見極めた結果ですよ。

あなたは賢そうで、わざわざ
苦労する人生を選ぶのですか?」


「お義父さ、いえ、御両親は
私達の事は、反対なのですね?」


「ハッキリ言えば、反対です。
あなた個人としては気に入って
います。

しかし嫁ともなれば反対せざる
おえません。」



「・・・そ・・・うですか。
慶一道さんの、 お父様の言われた
事は、良く 分かりました、
でも入院中は
お世話させて下さい。
私の不注意で招いた怪我です。」


「あとから特別室へ移します
完全看護なので、あなたの
お世話にならなくても大丈夫です。
本来なら病院を移したいんですが
1週間くらいなので

・・・
話は終わりました。
では、これで」

慶志郎は言うことをストレートに
包み隠さず話し、

反対する理由も、陽和が努力しても、
どうにもならない事も
彼の嫁候補も決まっていて
陽和はその対象でない事も‼

悔しいけれど慶志郎の言っている
事は企業のトップとして当たり前
の事かも知れない。

しかし慶一道が怪我したのも
陽和を庇っての事は事実

彼の愛情も感じている。
その愛情には対して、投げやりには
出来ない。
愛情には愛情で返す。
自分なりのやり方を変えたくは
無い。

たとへ、彼が他の誰かと結婚する
事になったとしても
今はそっと私達の愛を育てたい。

思い出を残したい。
1週間で終わるならそれもいい、
慶一道が怪我が重かったり、死に
至る怪我で無かった事を感謝してい
るぐらいだ、身を引く事など
何でもない。

彼が、元気で幸せならば
それがいい。

面会時間になり慶一道の元へと
足は向かう。

幾つも並んだベッドをカーテン仕切ってあるICU、機械の重い音が
静かな部屋に響いている。

手を洗い体をガーっと消毒する
カプセル見たいな所を抜け中へと
はいる。

「慶一道は、眠っていた。」

陽和はじっと慶一道の顔をみていた。
黒い長いまつ毛、鼻筋の通った
顔、全くのイケメン。


「モテないワケ無いよね。
寝ててもカッコイイ!」

つい、一言もらしてしまう。

頬を手で撫でた時慶一道がシッカリ
手を握り、陽和は慶一道の胸に
倒れた。

慶一道はいきなりキスして来た。
長いまったりとしたキス。

“な、なんちゅう事を、“


「ブハツ、調子のんな‼」

1発ぶっ叩こうとしたが
怪我人と言うのを思い出した。

慶一道はまた襲って来た。
ワーワ言うと、
看護師さんに怒られるから
仕方なく、(*´З`)チュチュチューチュ」
ブハツ

「又明日来る‼」

陽和はプンプンしながら
ICUをでた。
初めてのキスはもっとロマンチック
な場所を選んで欲しかったが
二回目のキスもICU?。

生命の取引の場所では申し訳ない。



次の朝母親が起きてきた。

「お母さん、ごめんね。
会社で、居心地悪くない?

「大丈夫、大丈夫、気にしないで
帰りに副社長に、会って
来るから。」

「うん。」
「陽和大丈夫なの?その・・・」

「お母さんの言いたい事は、
分かってるよ。
大丈夫だょ。」


「そう。」
「うん。」

母は母親なりに心配している。
あんな事からバレてしまい一番
動揺しているのは母親かも知れない。


母はいっも、カギカギ、携帯と
大騒ぎしながら出掛けるのに
今日は静かに出て行った、
多分余り寝ていないのだろう。

昼休み慶一道の特別室を、尋ねた。

賑やかな黄色い声がエレベーター
まで聞こえ響いている。

綺麗なキャピキャピした女の子に
囲まれ御満悦
キャバのお気に入りの子達と直ぐ
分かった。

おそらく来るもの拒まずの慶一道
は、殆ど関係持った子達だろう。

「ねえ、早く良くなって、お泊まり
行こ、ハワイがいいな。

キャー私も、私も〜」

「ねえ〜慶一道キス、キス」

「キャー私も私もぉ〜」

「ハイハイチュッ、チュッ、チュッ
はい、終わり。」


「え〜ほっぺじゃイヤイヤ」


「俺、彼女出来たから
お前達とは遊ばない!


「えー\キャー/\キャー/\キャー/だれ〜
だれぇ〜\キャー/\キャー/」

「ハイハイハイ!俺は彼女
一筋だかんな‼」

お見舞い所じゃない。
陽和はため息つきながら仕事に
戻って行った。

午後5時、仕事を終わらせ慶一道の
部屋へいく。

ドアを開けようとしたら

「 《《どーして怪我なんか
したの?》》

もう気をつけないと、ダメよ!」

「大丈夫だ‼でもお前フランスに
留学中だろう。」

「慶一道のパパから電話あったの‼」

「慶一道が怪我したってね。
だから昨日直ぐ飛行機に乗って
来たのよ。

着いたばっかりだよ。」



「えーイミフだワ。
なんでお前がくる?」

「えーだって慶一道と結婚するし
婚約者のお見舞いは当たり前
既に “関係“ もあるしね。」


「まっ、まさかそれ親父に言った?」

「うん。パパも大賛成だって‼」

「ハァ、なんで言うんだよ。
遊びだって確認してから
やっただろう。
お前も遊びで俺も遊び・・・だって

酒入っててそんな雰囲気になった
からって納得しただろ‼」

呆れた顔して慶一道は結衣を
問い詰めていた。


「だァってー良かったんだもん。
ぜ〜ったい慶一道の妻になるの‼
あのモデルと噂になった時は
ヒヤヒヤしちゃった。
遊びだったんでしょって‼
パパが直ぐダメになるからって
おじ様もダメになるって仰ってた
当たったワー。」

ミディアムショートの、彼女は上
から下までブランド品で決めていた。
甘ったるい声で可愛い系。


何処ぞのお嬢様か?
キャバ嬢の後はお嬢様?
交際範囲の広い事‼

あーもう救いようが無い‼
日和は諦めて時間を置いて出直す
事にした。

1時間切ったので彼の部屋へ向かう。
ドアをノックしてすぐ開けた

彼女はベッドに腰掛けていた
ミルキーブラウンの髪が乱れ
ワンピースもめくれ上がっていた。

《《誰‼失礼じゃない‼》》

パパッと離れる慶一道に向かい
陽和は薄ら笑いを浮かべた。


「あらあらお邪魔でした?
すみませーん。」


「違うよ陽和、結衣が勝手に
迫ってきたんだよ、

病院だし、さすがに何もないって‼

「💢💨あーそうですか‼💢
さっきからイチャイチャイチャイ
チャ随分なかよしですね。
夕食の前に彼女を食う、おつもり
だった?

《《お邪魔様💥💢💥》》










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