愛というもの~哀しみの中で~
質問してハッと気づく。
生まれてすぐに施設に預けられた私にとって帰る場所なんてなく、当たり前のようにこの部屋で過ごすこと以外の選択肢はなかった。
でも大吾には帰る場所がある。
当たり前のように一緒にいると思い込んでた…

「あっ、いや、今のは違うの。年末年始はみんな忙しいよね。帰ったりしないといけないし…」

言ってて泣きそうになる。
こんなに幸せな朝にこんな話しなきゃよかった。
慌てて体を起こして座ると胸元にひんやりした感覚があった。
反射的に触ってみると硬い何かがある。

「あっ、やっと気づいた。それ、俺からのクリスマスプレゼント。」

大吾の顔を見て、首元から服の中を覗いてみると、チェーンに架かった指輪だった。

「えっ?いつの間に…貰えない。こんな…」

こんな綺麗なものって言いたかったけど喉がぎゅっと締めつけられ、涙が流れて言えなかった。
私こんなに泣き虫じゃなかったのに…

「ハハッ、受け取ってよ。俺マジで何回も店に通って決めたんだ。こんなのよくわかんないし。」

何も言えずに泣いてる私を後ろから抱きしめてくれた。

「俺さ、実は親に黙って家出てきててさ、もう2年帰ってないし連絡もしてないんだ。」
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